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眠り姫に

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「灰斗ー灰斗ー……アレェ?」

いつもなら一緒に昼ごはんを食べている時間帯なのに、灰斗がいない。

「あしゅくーん。」

いつもなら「誰がだ!!」と掴みかかって来るのに、灰斗がいない。

「ねぇねぇ、灰斗知らない?」
「知らなーい」

クラスの子全員に聞いたのに、灰斗がいない。

「はぁー……何処行ったのあの子……」

保健室にもいない。
屋上にもいない。
他の教室にも、どこにもいない。
学校中を探し回り、昼休みも残り5分となった。

「(此処に居なかったら帰ろー……)」

第一校舎の中庭に向かい、灰斗を探す。

「灰斗ー灰斗ー……居た。」

きょろきょろと見回すと、見覚えのある人影が中庭のベンチに座って俯いていた。

作品名:眠り姫に 作家名:七瀬 庵