昼下り
女は心配そうに声をかけるがオレはしばらく動かなかった。
言うまでもなく、正面を向けば悟られるからだ。
「具合でも悪いの?持病とか?」
最近、胃の調子が悪いということにしておいた。
初期化したオレが起き上がると例の画面を見せられた。
そしてオレはコトの全容を理解した。
いくつか空欄もあり、まだ入力中のフォームだった。
よく見ると、さっきオレが話した事柄で埋まっている。
そこは生命保険のサイトで試算結果などのボタンがあった。
女の目的は保険の勧誘だったのだ・・・・・!!
「何だよこれ!!」
オレは言い殴り立ち上がった!
「アナタのためでしょ?病気になったら入れないのよ!」
部屋を出ようとするオレを太った女は体を盾にして阻む!
頭に来たオレはフォームの上にあったバナー広告をクリックした!
太った女がそれに気を取られている隙にソファーを飛び越えて
脱出!『 たった3ヶ月で・・・ 』 ダイエットの広告だ!!
ザマミロ・・・
自分の部屋に戻ると注文したカツ丼が待ちくたびれていた。
勝ち誇った気分じゃない、冷めた味噌汁は異常に辛かった。
よせばいいのに、いつまでもコトの経緯を辿っているオレ・・・。
気分転換にコミックの新刊を探そうと部屋を出た。
ぎょっ!レジの前にあのデブ女がいる!!
反射的にオレは隠れて窺った。デブ女が財布からカードを出すと
事務的な店員は受け取り笑んだ。
「ご会員さま、いつもありがとうございます」
窓の外に、泣き出しそうな空が見えた。
終