俺たちはどれぐらい一緒にいられるのだろう。
「もうすぐ夏だね」
気が早い波留のひとこと。
その前に梅雨があるし。
だいたいあんた、
「夏は好きじゃないんだろ」
「んー、暑いの苦手」
知ってる。
「今年も暑くなるのかなー…」
ひとりごとみたいな波留の声がする。
そうやって
波留の想像する近い未来にいつも俺が居たらいいなぁ。
俺の部屋。
二人きり。
「あ、飛行機雲!」
空を差す細い指と俺に向ける楽しそうな顔に「ほんとだ」と返す。
もしも。
その存在を俺だけのものにできたら。
そしたら…
大切にするよ。
わがままだって、きっと許しちゃうな。
いつもあんたの幸せを一番に考えるし。
絶対、独りにしない。
寂しい思いもさせない。
あなたに触りたいよ。
本気でそうなんだ。
なーんてことは
さすがに言えるわけなくて。
ほんとは不安だらけ。
いつもどっかで思ってる。
俺たちはあとどれくらい一緒にいられるのだろう、って。
-end-
作品名:俺たちはどれぐらい一緒にいられるのだろう。 作家名:ヨシイ ハル