犬のお巡りさんを壮大にしてみた
そんな軍組織は聴いたことが無いし見たことも無い。
恐らく、何かの工作部隊だろうかと推測したが、どうやら違ったらしい。
「『W.C.A』はこの国唯一の民間軍事会社でな。少々人手が足りないらしいと報告を受けた。本来ならば交渉決裂するはずの問題だったのだが、ここは空軍の訓練所だ。新兵を戦場に出しても問題が無いように鍛える施設であり、君たちの家ではない。つまり・・・」
ニヤリと微笑み、左手で、顎鬚をいじりながら、
「・・・つまり、これは君たちが認められたということだ。君たちはスカウトされたのだよ」
割り込むようにボルゾイが唇を動かす。
「ならば空軍特殊作戦軍団(AFSOC)の件は?」
「それだったらいつでも却下できるんだがな。そういうわけで早速『W.C.A』に連絡するとしよう」
受話器を手に取り、連絡先の電話番号を的確に入力していく。
『・・・・これにて、ヘッドハンティングを終了する・・・・』
受話器から漏れた声はそんなことを言っていた。
作品名:犬のお巡りさんを壮大にしてみた 作家名:御琴