分岐点 (後編)
歩く啓一に追いついた竜輝と千恵が、啓一の足にまとわりついている。バランスを崩してよろめく啓一に、二人がキャアキャアと声をあげて笑う姿が見えた。
啓一が何やら口を開きながら私を指差す。
すると、竜輝と千恵が振り返り、小さな手を千切れんばかりに大きく振っている。
子犬が尻尾を振っているみたいに見える。
すべてがキラキラしているのは朝日のせいだけじゃない。
後悔はしたくない。
子どもたちが大きくなった時に、自分の人生を自慢できるように生きなければ。
目に見えぬ未来を恐れるなんて、馬鹿馬鹿しい。
未来がどうなるかなんて、誰にも分からない。それなら、精一杯生きなければ。
どんな結果になろうと後悔しないためには、分岐点から進む道は自分が選択しなければならない。
そう誓った。
「かあちゃーん!早くおいでー!」
みんなの笑顔。つられて、笑ってしまう。
白い息をはぁっと吐き、手を振り返しながら、愛する3人のもとへ走った。