分岐点 (中編)
目を覚ます。
何度も夢と現実を行き来した。
―今は現実…?
見覚えのある天井、壁、タイルの床。
徐々に視界が開けてくる。
黄色い薬液の入ったボトルが目に入り、ポタポタと規則的な滴下がみられる。
点滴ラインを見ると、自分の腕につながっている。
ゾッとした。
―いったい何の薬なの
同じ医療者として、恐怖を抱いた。
咄嗟に、反対の手で点滴の針を引き抜こうとしたが、左腕が全く動かない。
冷や汗を流れるのを感じながら、顔を左へ向ける。
左の手首に太い布が巻かれ、ベッドの柵に固定されている。
見ると、右腕も同じように拘束されている。
拘束具は色あせ、糸もほつれており、使い古されているもののようだ。
精神科ならではの拘束具。
まさか自分に使われるなんて…。
何の音も聞こえない。
本当にここは病院なのだろうか。