小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

天秦甘栗  夢路遠路3

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 秦海の回答に、天宮はおもいっきり秦海の頭をペチンとはった。なんて勿体ないことをいうと天宮は怒った。マグロは全部食べれるのだ。皮も目玉も内臓も、それは捨てろとはひどいと、天宮は抗議した。
「すまない。じゃ、明日からは小振りのものにしてもらおう。」
「…もしもし、秦海。あんた、毎日送るつもり?」
「だって、新鮮な魚が毎日食べたいって、深町さんは言ったんだろ?」
 あんぐりと口をあけて、天宮は呆れてしまった。そこへ、井上が電話だとコードレスを持ってきた。相手は深町である。
「ああ、深町さん。…いえ、…とんでもない。…少し大きかったので迷惑をかけたみたいですね。明日は…」
 秦海は言いかけて、『えっ』と止まった。深町が言ったことを理解できなかったようだ。
「あのー深町さん。バケツ一杯数百円の魚って……ええ、はい。…いわしとかさばとかさんまですか。……はい、…天宮。」
 秦海は深町から、高級魚じゃなくて大衆魚を届けてほしいと頼んだらしい。コードレスを秦海から取って、天宮は、「もう送らないようにしてもらうから、心配しなくてもいいよ。」 と、言って電話を切った。
「…よくわからんなあ、どうしてマグロよりさんまがいいのか…?」
 秦海は不思議そうに首を傾げている。深町は自分でも簡単に買える魚でないと気がすまないのだ。高級魚はただでもらっても嫌なのである。
「秦海、魚を送るのは、もういいから。気持ちだけ受けさせてもらうってさ、えりどんが。」
 井上にコードレスを返して、天宮は一応秦海の親切に礼を述べた。
「そうか、じゃ川尻に言っておく。……なあ、天宮。」
「うん?」
「大きな冷蔵庫があったら、大きな魚送ってもいいのか?」
 秦海の疑問に天宮は、後ろ手で秦海の胸のあたりに一発いれて、『ちがうーっうやろ』と突っ込んだ。

  
作品名:天秦甘栗  夢路遠路3 作家名:篠義