養護教諭 安芸原素子
終
白い、闇が晴れた。私の心は『私』だし、体もちゃんと動かせる。どうやら『ワ
タシ』…ノックしてきた彼女は、無事に明るい処へ逝けたようだ。自分に霊媒のよ
うな体質があるとは思えないけど、これは認めなくっちゃ。
さて、問題は血と、私の涙と自分の血でぐっちゃぐちゃの、この心優しき原始人…
足代をどう納得させるかだな。足下では黒猫がしたり顔で笑ってやがる。たぶん、
こいつも猫も霊感が強いんだ。きっとまた何かが起こる、そんな気がした。
少しだけ、この学校でやる気がわいてきた。勢い良くゴツイ手を引き剥がし、私は
叫んだ。
「少年っ! 私に惚れるなヨ〜〜〜っっっっ!!」
・・・おわり。
作品名:養護教諭 安芸原素子 作家名:JIN