養護教諭 安芸原素子
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もう、いい? ……ウン。
この子を、まだ『そっち』へ連れていく
気なの? ウウン。モウ、イカナキャ。
…気持ち、解け合ってたとき、あなたのこと
分かったわ。悪い気はしなかったわよ。
でも、もしあのまま力を加えていたら…この
腕を噛み切っても止めていたわ。
ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…。
前のところへ戻るの? イイエ、モットアカルイ
トコロヘ、イクワ。
アタタカイキモチ、モラッタモン
「オハナシシテクレテ、アリガトウ。ソレカラ、ゴメンナサイ…。」
私の唇を使って、最後に彼女はそう呟いた。
作品名:養護教諭 安芸原素子 作家名:JIN