養護教諭 安芸原素子
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ガララッ…。
「扉」を開けた途端襲ってくる軽い、目眩。
……なにも、何も見えない。
白い闇が広がっていくよう。意識が遠のき、
透明になっていくような…。
…とん、とん。
あ、ノックの…音?
オネガイデス、オネエサン。
だれ? 私の「心」、ノックしたの…。
オネガイ、スコシダケココニ
イサセテクダサイ。
何?
…不思議。
誰か分からないけど、あなたの気持ち、
分かるわ…。 …ワタシモ。
あなたは、私。 アナタハ、ワタシ。
私は、アナタ。 ワタシハ、あなた。
「ワタシ(あなた)」は.......。
「ワタシ」は、会いに来たの。遠い、寂しいトコロカラ。このひとに、会いに..。
作品名:養護教諭 安芸原素子 作家名:JIN