マッチ売りの少女
おまけ①
しばらくして、冬の街を幸せそうに歩く少女の姿が見られるようになりました。
しみったれたコートなんかは着ていません。流行りの毛皮のコートに身をつつみ、
化粧も完璧です。
「こんなことならもっと早く連絡するんだったな、警察に。」
身内の不祥事に世間から批難の矢面に立たされていた警察は、「虐待を受けている
少女」からの通報に汚名返上とばかりに過敏に反応し、まま父を逮捕してしまった
のです。母親はすぐに新しい男を探しに行き、姿を消しました。あとは自分の言う
ことを何でも聞く、生きているかどうかも分からない祖母だけです。
「さ、もうひと稼ぎしなくちゃ。春物のドレス、欲しいしぃ」
彼女は雑踏に呑まれていきました。「援交」という名の"暖かい春"を売りに…。
終わり