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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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 ヘーゲルは山口に撤退命令が来たことを伝えながら、通信兵が持ってきた書類をチラリと見た。そして、ヘーゲルは、次の瞬間、唖然とした表情になっていた……。ヘーゲルが唖然とすることなど、初めてなので、佐世保たちは物珍しそうにヘーゲルを見ていた……。
『ヘーゲル? どう…た?』
山口の声に、ヘーゲルは我に返った。
「……山口、めんどうなことがもう1つあります」
『……めんど……こ…? ど……こと…?』

   プチン!

 なんと、そこで山口との通信が切れてしまった……。 ヘーゲルは、急いで通信を再開しようとしたが、雑音がするだけで、山口の声など全くしなかった……。
「霧の影響ね」
佐世保が心配そうな表情でそう言った。
「さて、我々は、山口の救助と撤退作業を同時進行で進めよう」
ヘーゲルのその言葉に、佐世保たちはやれやれといった感じで動き始めた。
 ヘーゲルは書類を机の上に置いた。その書類も司令部からの緊急通信の書類で、山口たちが今いるこの世界を『異次元間弾道ミサイル』で全て焼き尽くすということだった……。そのタイムリミットは、翌日の正午だった……。