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CROSS 第11話 『奇妙な夜間行軍』

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第1章 脱出



   第11話 『奇妙な夜間行軍』

【時間軸】…異次元暦42733年 11月15日 夜
【場所】…世界『悪魔魂』(デモンズソウルの世界)
     腐れ谷エリア



 ……電灯や表示がチカチカと点滅したり、電子機器からビシビシと火花が出たりしている。ここは、墜落したエアリアルの機内だった。機内の床には、山口と妖夢が倒れこんでいる。他には誰もいない。窓の外は暗闇で、地面には沼が広がっているようだった……。

 やがて、山口が頭を押さえながら、ゆっくり立ち上がる。額に切傷ができていた。彼は辺りを見回した後、ため息をつく。それから、ハッチのほうに倒れこんでいる妖夢に声をかけた。山口の声に彼女は飛び起きて、刀を素早く構える……。
「……墜落したんだよ」
山口は窓の外を指さす。妖夢は窓の外をチラリと見ると、刀を鞘に戻した。
「……まさか、科学技術を誇っているはずの帝国連邦の航空機が墜落するとは思いませんでした」
「長時間の飛行だから、エネルギー消費が激しいシールドは切っていたんだろうな」
「帝国連邦は、たくさん植民地の世界を持っているはずなのに、エネルギーの節約?」
山口はまたため息をつき、
「いいか、庭師? よく聞けよ? 今、おまえは、その帝国連邦の植民地にいるんだ。この墜落で事故死したことにしてもいいんだぞ?」
脅しがかかった口調でそう言った。
「やれるもんならやってみてください」
妖夢は刀を抜こうとしている。
「いや、やめておこう。庭師が事故死したことを、あのやっかいな雇主を納得させるのは難しそうだ」
「やっかいなのは、あなたの雇主ですよ。それじゃあ、早く基地に帰りませんか? これ以上、この植民地だった世界にいたくないので」
妖夢は刀を抜くのをやめ、そう言った。

   バリィ!!!

 突然、何かが裂ける音が機内に響いた。その不気味な音は、妖夢の後ろにあるハッチから聞こえてきた。山口と妖夢がハッチのほうを見る。
 ハッチのほうから、稲妻のようなヒビ割れが走り始めていた……。墜落による衝撃のせいだろう。やがて、そのヒビ割れは端から端まで届いた。すると、ロックが壊れたハッチが勢いよく開く。そしてそこから、気持ち悪い色をした泥が、大量に機内へ流れこんできた……。
「大事な服が汚れるじゃないですか」
妖夢が機内に流れこんでくる泥を見て、やれやれといった表情でつぶやく。それだけで済まないことは明白だ。この辺一帯の泥は、毒性を帯びているのだった……。
 山口は目の色を変えて、後部にあるハッチとは逆方向の
前部へと走っていく。それを妖夢はポカンと見ていたが、機内へ流れこんできた泥の中に、人間の頭蓋骨を見つけると、すぐに意味を理解した様子で、その方向へ走り出した……。