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ちょっと怖い小咄 【二幕】

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小咄其の弐拾 『さらば正義の味方(なじりあい宇宙編)』


 銀河のはずれにある惑星テンプラー。のどかな昼下がり、王宮でテンプラー王が
くつろいでいると、もの凄い剣幕でずかずかと宮廷まで入ってくる者がいる。

「ちょっと! アンタんとこの若いの、一体どういうつもり!」

見覚えのある銀色の肌にのっぺりとした顔。宇宙の警察を公言してはばからない、
『銀河うるとら組』の人間だ。とりわけ厚顔無恥で有名な…水牛のようにデカイ角
とモミアゲを持つ壮年の男、そして年に似合わないオサゲ型の飾りをつけた女性の
二人であった。

「は? 一体何を、というよりあなたがたはなんでここに」
「とぼけんじゃないわよ! アンタんとこの出来の悪い尖兵が、うちのかわいい
万太郎ちゃんに大ケガさせたのよ! ひざを擦りむいて、腰も痛いって。なんて可
哀想なんでしょ」
ヒステリー気味にまくし立てる女、無言の圧力をかける男。
「えええ、そんな。辺境の惑星の地権争いなんて、どこでもやってるじゃないです
か。」
「ガタガタ言いなさんな! あなた、やっちゃって」
超スーパーうるとらの父、略して超スうの父は腕を十字に組むと叫んだ。

「ファーザー・ラブ・カタストロフィ光線!」

ズゴゴゴゴ!
王宮は一瞬で破壊された。

「あわわわw」
「これに懲りたら、もっと弱いテンプラー星人を万太郎ちゃんにはあてがってちょ
うだい。それから万太郎ちゃん、早起きが苦手だから朝から攻撃なんて駄目よ。夜
も残業なんてさせませんからね!」
母の言い分にさすがに穏健派のテンプラー王も声を荒げた。
「む、ムチャクチャだ! こんな横暴許せるか! 銀河連邦に提訴してやる…」
「・・・・」
超スーパーうるとらの母、略して超スうの母が無言で十字に手を組む。

「マザー○ァッカー光線!」

ズッギャアアアアァンンン・・・!

とんでもないネーミングの光線が炸裂した。テンプラー王は星の彼方へと消し飛
び、ここにまた一つ惑星の運命が潰えた。

「さ、もどりましょ。でも来週は頭が悪い火を吹く怪鳥が相手だって聞いたわ。万
太郎ちゃん、火傷しないかしら」
「大丈夫、そんな時は警備隊の若僧かソフィー隊長に盾になってもらえばいい」
「ああんそうねそうね、さすがあなた、頼りになるわ」


 二人は寄り添い、うきうきと廃墟を後にした。次の獲物をさがし…
もとい、愛息子の障害を取り払うために。いやいや宇宙の平和のために。



                     ・・・ホントにホントにおしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄 【二幕】 作家名:JIN