Minimum Bout Act.01
珍しく強い口調で言うルーズに、シンはため息を吐く。
一体どうしたというのか。こんなに事件に首を突っ込むルーズは今まで見た事がなかった。
「ーーーどうした? お前らしくない……何をそんなに焦ってるんだ?」
「焦ってなんかないわよ。納得いかないって言ってるの」
「お前ら横でごちゃごちゃうるせー!! いいから飲め!」
完全に出来上がったカッツに首を絞められ、シンはそれ以上ルーズを追求する事が出来なくなってしまった。
ルーズはふいとシンから顔を反らし、ラムをぐっと飲む。これはもう話し掛けるなという合図だ。仕方なくシンはカッツが無理矢理自分の口めがけてねじ込むグラスを奪い、バーボンを喉に流し込んだ。
「はははっ、いい飲みっぷりだ! もっと飲め! トレインのおごりだ!」
「おい! 誰がおごるなんて言った!?」
「細かい事気にすんな! 経費で落とせるだろ?」
「落ちる訳ないだろうがっ! あっ、こらルーズ! お前はそれ以上飲むな! お前が一番ザルなんだから!」
「マスター、ボトル追加」
がやがやと浮かれた音を立てる場末のバーで、男達は腐った世の中の出来事をほんの少しの時間忘れる。
規則正しい宇宙は、人間の手でどんどんと不規則と混沌におかされて行く。
いつまで経っても成長出来ない人間など、どこにいても役立たずだと、何かに押さえつけられているようで息苦しい。
だがカッツ達はそうは思いたくない。人は人と繋がりを持てるからこそ傷ついたり幸せを感じたりする。
だから、人探しをするのだ。
今日もまた、誰かが誰かを捜している。
繋がりを求め、継続するために。
Act.1 end Act.2 へ続く…
作品名:Minimum Bout Act.01 作家名:迫タイラ