ともだちのしるし
仕方なく立つ。愛華ちゃんは顎に手をあてて、私の頭から足までを目で一周二周させながら、
「ふむふむ。うん、目はパッチリ二重で眼鏡も似合ってる。黒髪もサラサラだし、スタイルだって悪くはない。あー、胸は完全に負けてるか」
「それ、褒めてるのか貶してるのか分からないよ」
ため息をついてまた座り、食事を再開した。その間も、さっきの愛華ちゃんの言葉がまだ頭に残っていた。
『友達』という単語。『友達』という関係。友達、ともだち……。そんなの無理だよ。頭から振り払うように、窓の外に目を向けた。
校舎と校庭を二分するように、校門から続いている桜並木が見える。学校創立時からあるというその桜並木はこの学校のシンボル的存在で、この季節には文字通り、桜のトンネルが校舎の端から端まで続く。はらはらと散った花びらが、地面に薄いピンク色の絨毯を敷き始めている。ふと、二羽の鳥がその絨毯に止まっているのが見えた。くっ付いたり離れたり、一緒に何かをついばんだり、その仕草はまるで遊んでいるようだった。
「あの子たち、友達なのかな……」
なんだか、私の方がちっぽけな生き物のように思えた。