小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

遺書

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 







 私はもう私をやめることにしました。
 私は一人ではありません。この膣に、小さな誰の目にも晒されない墓標を抱き、私はこの小さな箱の羅列をすり抜けていくのです。
 ねぇ、貴方。私はたった一つだけ、貴方にお願いしたいことがありました。たった一度でいい、貴方にこの墓標に触れてほしかった。他でもない貴方に、たった一度、触れてほしかった。


 ねぇ、神様。私はもう十分に闘ったでしょう?
 私はこの箱を出れば、どこへ向かうでしょうか。私を拒否した私は、一体どこへ向かえばいいのでしょうか?この肉体を捨てたなら、私はどこへ向かってゆけるのでしょう。
 もし私が、また新たな肉体を持つことがあれば、私はやっぱり貴方にまた会いたいと思うのです。私であることに喜びを抱き、墓標の前で立ち尽くすことなく、貴方と笑顔で向き合いたい。
 足を掛け、今私は飛んでいきましょう。
 辿りつく先に、今度こそ、私と笑顔で出会えますように。
 さようなら。
作品名:遺書 作家名:紅月一花