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サイコシリアル[4]

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と。
僕はそう呟いて、目を閉じた。
瞬間。
固形物が鉄塊によって破壊された音が左耳を刺激した。
目を開けて、横目で見てみると、ナイフが壁に突き刺さっていた。
いや、突き刺さっているというよりも、破壊していた。
「お前・・・・・・!」
そして、壁を破壊した主、九紫戌亥は僕の眼前で、驚愕とも憤怒とも取れる表情をしていた。
僕は、なんとか生き延びたらしい。
「妹。九紫は三女だったよな? だとしたら、少なくとも後、二人は妹がいるはずだよな。お前は、その妹達を巻き込まないように、巻き添えにしないように一人で・・・・・・いや、賽ノ目と二人で活動しているんじゃないのか? でも、この理論を展開するには九紫を殺す理由が全く見当もつかないんだけどな。ただの戯れ言かもしれないな。でもさ、『妹』っていう単語にそこまで敏感に反応するってことは何かあるってことじゃないか。殺し遣いが、武器と対象の距離を間違える・・・・・・というより、軌道を無理矢理変えるなんてよっぽどだろ」
完璧過ぎるが故か否か。
完璧というもの程、とある一点を突かれる、崩されると崩れやすいものはないのかもしれない。
九紫戌亥は、完璧であっても完全ではないということ。
九紫戌亥は、最強であっも頂点ではないということ。
むしろ、最強というのは端から見たただの比喩に過ぎないのだ。
天才であっても完全ではないのだ。
完璧で完全な人間なんていない。
矛盾しているかもしれないが、必ず穴があるものだ。
人間は、生物の中で最も安定しているようで不安定な生き物なのだから。
「戌亥、お前は殺し屋である前に、人間ってことなんだよ。完成をみない人の間を彷徨う儚い生き物さ」
「御託はいい。死ねよ、涙雫」
「終いには感情論か・・・・・・つまんねー奴」
九紫戌亥は、僕のその言葉を待たずして、突き刺さっていたナイフを引き抜き僕の首元へと突き付けた。
「終わりだ、涙雫」
九紫戌亥が、僕の首筋を引き裂こうと腕に力を入れた。
その反動で僕の首筋には、赤い一筋が出来た。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし