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サイコシリアル[4]

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「僕の勝手な独断と偏見だけど、戌亥、お前は自分の価値観だけでこの惨状を作り出すようには思えないんだよ」
「馬鹿言うんじゃねーよ。俺は自分勝手な、一人よがりな判断でこの惨状を、一族潰しを企てたんだよ」
一人よがりな判断。
自分勝手な判断。
これは間違ってる。
多分、違う気がする。
「じゃあ、何故。何故、戌亥、お前を慕う部下である賽ノ目とやらを引き連れたんだ」
これは九紫が言っていたこと。
九紫戌亥が、一族から忽然と姿を消した時に共に消えた殺し屋。
「情報通だな、涙雫。そんなの決まってるだろ。一族を潰すのは一人より二人の方が楽だからだ。騙して利用したに過ぎねーよ」
九紫戌亥は僕の問いに舌打ち混じりに答えた。
しかし、その答えが意味するのは一目瞭然。
「それだと矛盾が生じてるぞ、戌亥」
つまりは。
「それは一人よがりな判断ではない。個人の価値観でもない。そして、一族の長、政府の中枢を殺した、この惨状を作り出したお前には一人で一族潰しを行うのは容易なことじゃないのか?」
目の前に広がる慈悲の欠片もない無慈悲な惨状を作り出せる九紫戌亥は、一個人の力で滅ぼすのは容易だと思ったのだ。
一族を滅ぼす、とまではいかなくとも、壊滅寸前にまでは追い込めるはずだ。
「買いかぶりすぎだっての。俺だって人間なんだ。限界ってのがあるだろうが。御託はもういいぜ、涙雫。続きを始めようぜ」
九紫戌亥は、姿勢を低く構え、次の一手を繰り出そうとした。
「ここからは一方的に壊してやんよ」
再開の合図を告げた。
しかし、僕と言えばもう既に壊されている。
壁に叩きつけられた時に、後頭部も強打し、さっきから脳内に火花が散っているし、右腕が痛覚を取り戻したのか、激痛という激痛が襲っているわでボロボロだ。
ぶっちゃけ動けない、というより動かない。
だから冥土の土産と言っちゃ自虐的過ぎる気もしないが、一言だけ告げようと思う。
最後の抵抗までに、臆測者の臆測をプレゼンだ。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし