サイコシリアル[4]
ということで、国家と無縁な僕は、深夜にほど近い、夜の十時をまわった今の時間帯に病棟を訪れているという訳だ。
その訳は、日中帯だと、猿渡警部以外の国家の皆さんと鉢合わせする可能性があるからだ。一応、猿渡警部に偽造警察手帳を作ってもらったのだけれど。
『犯罪に加担しているみたいで楽しいよ、涙雫君』とかなんとか言っていたけど、気にはしない。
もう立派な犯罪者なんだよ、お前は。
ともかく僕は病棟の『480 霞ヶ窪桜 (カ)』と書かれたプレートがある、部屋の前まで来ていた。
(カ)というのはカニバリズムということなのだろうか。そんな大々的に公表することなのだろうか。試しに僕は隣の病室のプレートも見てみた。
そこには『481 三畳来須 (ネ)』との文字が見て取れた。
多分、隣の隔絶患者はネクロフィリアなのだろう。ネクロフィリア、所謂、屍姦だ。
本当に胸糞が悪くなる。
まともじゃない奴らばっかりだ。
だから、隔絶されているのだけれど。
僕は、そこで一つ深呼吸をはさみ、408号室の引き戸に手を掛けゆっくりと扉を開いた。ノックをするのを忘れていたが、猿渡警部曰く、話は通っているらしいので打以上だと思うけれど。
これで、真実に一歩近づけると。
確定の可能性をより確実に出来ると。
確定の確立をより高めることが出来ると。
そう思って扉を開いた。
作品名:サイコシリアル[4] 作家名:たし