笑門来福 短編集
地球侵略者を探せ!
私は、宇宙の平和を守るために派遣された宇宙警視官である。
地球に向かう船の電波をキャッチし解読した結果、地球侵略を目的とすることが判明し、私が持つ地球に関する知識とこの姿故に、適任者として選ばれたのである。
私の名前は・・・作者がパソコンで私の名前を打ち込むテクニックを有していないので、省略しておこう。
地球に到着した私はまず、宇宙船を隠した。そして、侵略者が発する通信電波を追って川土手を移動していたのである。いかにして、宇宙人の侵略情報を地球人に伝えるかを考えながら・・・。
そこでばったりと出会ったひとりの地球人。私には少しだが、テレパシーが使える。
その地球人は、パソコンで文章を発信することを仕事にしているらしい。
私とその地球人とは目が合い、意思が通じたようである。
「わあ、かわいい、迷子かな」
「ワン」
というわけで、私はその地球人の住まいを捜査拠点とした。
地球人は家族から「まみ(真実)」と呼ばれている。
私には「イチコロ」という名がついた。
どうも、真実はダジャレが好きなようで・・・冗談は、顔だけにしてほしいところなのだが。といっても、私に地球人の美の基準は分からない。アーモンドの目尻が下がり、左右アンバランスな顔は美人なのだろうか?
それはさておき、私の使命! 地球を侵略する者がいることを一刻も早く、多くの地球人に知らせなければならない。
ネット情報は一瞬にして全世界の人に伝わり、強い影響を及ぼすことは把握していた。
真実に、早く発信するように、とのテレパシーを送った。
ようやく打ち始めた文面を読む。
『転がるサッカーボールを高く蹴り上げ、ゴール目指して全力で走る君の姿は美しい。僕の高鳴る鼓動を鎮めることは、浮き輪を海底に沈める以上に困難だ。この気持ちを君に伝えたい。しかし僕の気持ちを知ったらきっと、君は僕のことを軽蔑するだろう。ああ…………』
ちがうちがう・・・テレパシーで文面を書かせた。
『宇宙から、地球を侵略しようとする者が入り込んでいます。早急に警戒体制をとり、周辺に気を付けてください』
真実はノベリスト.jp にアクセスし、投稿した。
ペンネームは、薔薇乃かおり。
翌日になっても、社会には何の反応も見られない。
薔薇乃かおりの小説作品一覧ページを開かせた。
アクセス数『13』。桁単位は表示されないにちがいない。13万か13億か。
とりあえず私は、与えられた自分の拠点に戻って、しばらく様子を見るために眠ることにした。