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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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ペナルティ・ボックス

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「勿論、彼には魂があるから、なり変わる事は出来ないよ。だけど一緒にいる事はできる。それでいいなら、許可しよう」

 おそらくは守護霊になれということなんだろう。
 
 私がその提案を拒否するわけがなかった。
 なぜなら生前から私は彼の大ファンだったのだ。
 
「これにします」
 
 私はきっぱりと宣言した。
 
 守護霊はいくら、彼の為に尽くしても好きになってもらう事ができない。
 そのうち彼にはいい女性が現れて恋に落ちることになるだろう。
 そんな時も、ただ見守っているだけ・・・。
 つらくても、もう自殺はできないのだ。
 だが、それでも掃除機や、古書や、人形寺の地下倉庫のフランス人形になるよりずっといい。


「ではそれでいいんだね」
 死神の言葉に私はもういちど頷いた。

 やがて、クラリとした感覚の後で、
 私はなにか温かい場所に飛ばされた。

 どうしたんだろう。何も見えない。
 ただ水中の中を漂っているだけのような・・・。
 
 不安になった私は死神に呼びかけて見た。
「守護霊って、最初はこんなものなの?」

 だが、返ってきた答えは驚くべきものだった。

「自殺した人は守護霊になれないよ。君は望み通り彼の中にいる。サナダムシとなってね」

 なんでも彼はスタイルを維持する為に、サナダムシを飼い続けているらしい。
 
 サナダムシの寿命は約三年だから、私はこれから次々とサナダムシに生まれ変わって、
 そこで六八年間をすごすのだそうだ。
 
 
      (おしまい)