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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ダークネス-紅-

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 つかさにはわかっていた。あとから現れた早苗が紫苑の出会った早苗だ。そして、もうひとりの?早苗?を偽者だと、先ほどのある出来事で確認していた。
 ?早苗?も取り乱しながら叫び声をあげる。
「あんたこそ誰なの!」
 互いに互いを誰かと問う。
「あたしは草薙早苗よ、あんたは誰よ!」
「あたしが草薙早苗よ! この偽者!」
「偽者はあんたじゃないのさ!」
「どうして、どうして……あたしはあたしよ、草薙早苗よ!」
 二人は己を草薙早苗だと主張して一歩も譲らない。しかし、二人は瓜二つというわけではなかった。似ているが違う。
 早苗の顔は人生の疲れを滲み出し、声も煙草の吸いすぎで枯れている。
 一方、?早苗?は早苗よりも若く、声も枯れてはいない。
 早苗と?早苗?の間には数年の年月を感じた。
 笑い声がどこからか聴こえた。仮面だ、仮面の奥で男が笑っている。
「ククククッ……オレが……母さんを呼んだ……んだ……生きてると……知ってな」
 不気味な仮面を被る男の正体に早苗はこのときはじめて気がついた。
「あんた……わかった、あたしのクソ息子か、そうだろ?」
「そうだ……あんたを……刺した……クソ息子だ」
 ここで早苗は、はたともうひとりの?早苗?の正体に勘付いたのだった。
「あんたは……まさ……」
 言葉を詰まらせた早苗に?早苗?がナイフを振り上げて襲い掛かった。
「この偽者!」
 ナイフは早苗の胸に突き刺さった。
 止めといわんばかりにナイフは抉るように廻され、口と眼を限界まで開いた早苗は醜悪な形相で手を伸ばした。
 手は?早苗?の顔の触れる瞬間に力を失い地面に垂れ下がり、そのまま早苗は地面に倒れて動かなくなった。
 不気味な仮面は笑った。
「やっと……死んだ……ぜ……クソ婆……これで……オレたちを……縛るモノが……ひとつ減った……」
 早苗から流れ出る血が地面を浸蝕して、?早苗?の足元まで来たとき、ナイフを力なく落とした?早苗?はしゃがみ込んで絶叫した。
「イヤァァァァァァッ!」
 その叫び声を聴いて、つかさは?早苗?が誰なのか確信した。