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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ダークネス-紅-

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「わたしは平気ですから、少し保健室で休んできます」
「ならわたしもついていく」
「ひとりで平気です。わたしはひとりでも平気なんです!」
 雅は髪の毛を掻き乱しながら廊下を走っていってしまった。
 呆然とする紅葉の横につかさがやって来た。
「どーしちゃったんだろね?」
「わからない、けれどなにかに脅えていたみたい」
 紅葉は近藤香織と猪原由佳が死んだニュースを雅に尋ねるつもりだった。けれど、あんな状態では下手に刺激しないほうがいいだろう。
 柳眉を眉間に寄せながら紅葉は自分の席に着いた。
 才色兼備な紅葉が難しい顔をすると、世界がひっくり返るような大問題を考えているように見えてしまう。あまりの大問題を抱えているようで、力になってあげたいという言葉すらかけられない。
 しかし、つかさは気軽に声をかける。
「なーに考えてるの?」
「二つの事件のこと。近藤さんを殺したのは連続婦女暴行魔で、現場には過去の事件と同じ精液が残っていた。殺しの手口は過去の被害者たちと同じで強い力で絞殺」
「同じ日に殺された猪原由佳は別の連続猟奇犯の犯行でしょ?」
「そうなの、こっちの殺人鬼は女性を襲い、乳房や性器を抉り、顔の皮を剥ぎ取ってどこかに持ち去っている」
「連続殺人鬼って自分のポリシーみたいなの持ってるから、犯行の手口は一貫してるって言うのね。猪原と近藤が友達同士で地獄送りにされても、犯人はまったく別人だよ。警察も二つの事件をまったくの別件で扱ってるらしいし」
 それは紅葉もわかっている。けれど、同じ日に三人組の二人が殺され、?名無し猫?も事件に絡んでいる。だから事件にはまだ先があるように思えてならないのだ。
 ?名無し猫?にまた出し抜かれそうで怖いのだ。
 不安な表情をする紅葉の手をそっとつかさが握った。
「大丈夫?」
「う、うん」
 握られた手が熱を帯び、つかさの瞳に見つめられると安心する。この妙な感覚を?姉?は憧れだと言った。果たしてそれが本当にあっているのか、紅葉にはわからなかった。
 人が多い教室だということもあり、紅葉はさりげなくつかさの手を退かした。あのままだったら顔まで赤くなって回りに気づかれてしまう。
「大丈夫だから。でも、気になるの……事件のことが。あとで武田さんに会いに行こうと思うの」
「やめときなよ!」
 しかし、三人のうちの二人が死んだ以上、残った一人になにか起きないとは言えなかった。
 ――自分は事件に巻き込まれてしまった。紅葉はその運命を受け止め、事件を追うことを心に深く誓った。