D.o.A. ep.8~16
内部は真っ暗を覚悟していたのだが、誰の手によるものか、灯りが取り付けられていた。
ティルによると、この洞窟は三層によってなっているという。
魔物が出ることのないこの洞窟は、格好の探検場所だったらしい。
現在は、入って10歩と歩かぬうちに飛びかかられるほどの物騒さだったけれども。
「…異状、ねえ」
物陰に隠れながら、身が入っていない科白が、ライルの口から紡がれる。
ティルもトリキアスも、その光景をひたすら黙って見つめていた。
ヴァリメタルとは、出来る限り暗くしておくと、青く、ぼんやりと光るらしい。
事前に写真で見せられたヴァリメタルは、光ってこそいなかったが、確かに青い色をしていた。
現在地点、ヴァリメタル洞窟、第一層中間。
灯りがなるべく落とされた中、ぼんやりと光を帯びた岩肌の上を魔物がうごめいていた、が。
「あれ、本当にヴァリメタル?」
「この洞窟にはそれ以外、発掘できる魔金属はない…はずだ」
「―――だって…見たところ……全然色が違うぞ」
さよう。
青い光を放っているはずのこの場所は、真逆の、赤い光に満ちていた。
作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har