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ばーさーかー・ぷりんせす!第3話

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3.

「ありがとうごぜえやす。オラたちはここの漁師でミックリー、シュモーク、ジン
べーと申しやす。」
助けられた漁師の三人は一行を宿屋まで案内した。最近増えたマーフォークの被害
でジャスコゥの村は寂れたまま。あらくれ漁師も怯えて酒を飲む日々だという。
「楽しみは、最近あんたがたみたいにやって来たべっぴんの姉妹の占い師に会いに
行くくらいかなあ」
「助けてもらったのに本当にすまんですが、みんな貧乏で村長さんでも雇えるかど
うか…」
「あ、宿屋も自前でお願ぇしますだ」


 潮の香りもきつい、古い宿屋で。
「とりあえず、食費を稼がなければ、民も我が身も救えませんですな」
ギャリソンは宿代を払い、淡々とお茶の準備をする。
「…皆さん、ごめんなさいね。賞金稼ぎのお仕事で実入りがもう少し、あればよい
のだけれど」
フロリーナ姫は申し訳なさげに言った。
「姫は金策などお考えにならなくとも。あ・私、地主のお屋敷の経理の請負業を引
き受けて参りました。ここ3年の出納をちょっと計算してみましたところ、いたく
仕事ぶりを気に入って頂きまして。では、失礼致します」
恭しく礼をし、執事は外出した。
「わたしとラッキーは街頭で手品の興行に行ってきまーす!」
「あ、オイラ野暮用が…いでででで!」
マリアがラッキーの耳をつかんで出て行った。
「わたしはぁ、お医者様と教会のお手伝いに~」
ルーシーもゆっくりと外へ向かった。


 フロリーナは少しだけ涙目になっていた。実際、魔族に城を追い立てられるまで
は帝王学や学問、礼儀作法と身を守る武術を学んでいただけのハイソな身分であ
る。実生活では役立つ事のほうが少ない。だが、女王としての威厳や立場を守らせ
るため、ギャリソンは彼女には戦闘以外では包丁1本さえ持たせなかったのだ。
「――ありがとう、皆さん。わたくしも何かお手伝いができれば…」
宿には姫とイビキをかく鎧、そして紅茶のポットが残った。