死神憑の
プロローグ:ママ
「ママー。」
「なんだい少年。」
ぼくのママはパパと同じでぼくの事をよく『少年』って呼んでくる。
「今日のご飯は?」
台所でママは今晩ご飯を作ってる。
まだまだ背の低いぼくはお鍋やフライパンの中を覗くことができない。
だから椅子を持ってきてそれに乗って中を確認するんだ。
「あー、今日ね、うん。焼き肉…って危ない危ない!」
椅子の上に乗って覗こうとするぼくをママが遮った。
「火を扱う所でぐらぐらするんじゃない、まったく…。」
「えー、いいじゃん!」
「危ないからダメ!」
ママがぼくを椅子からおろした。
ぼくはチェーっと口をとがらせて不機嫌さをアピールしてやった!
「あら、かわいいじゃないの少年。」
むだだったようだ。
「ほらほら、パパも帰ってきたことだし先にお風呂に入ってきちゃいなさい。もう湧いてるから。」
「はーい。パパー。」
「ん?」
早速机で絵を描いてる父に呼びかけた。
「うぇ、もう描いてやんの。」
「なんだよ、悪いかよ。」
「別にー。」
パパとママはよく言い合う。
けどぼくにはそれは嫌じゃない。
なんていうか、じゃれあう…って言う感じ。
だからぼくはこんなパパとママを見るとついつい嬉しくなる。
「はぁー、唯、風呂入るか。」
「あいさー。」
お風呂に行く前にふとママを見たらふっと笑ってた。
ほらね?ぼくの言った通り!