サイコシリアル [2]
「第一の被害者、風切尚美、二十歳。神ヶ崎大学の二年生にしてミスキャンパスに選ばれる程の美人。第二の被害者、影島彩花、二二。嵐山専修大学を卒業後には、モデルとしての活躍が約束されていた。第三の被害者、浅里島省子、十七歳、爛廻高校の二年生。売れてはなかったけど、現役グラビアアイドル。第四の被害者、円木実里、二一歳、神ヶ崎大学の三年生。第一の被害者、風切尚美に僅差で負けた準ミスキャンパス。これらの事件が、ここ三週間の間に起こっているみたいね」
戯贈は、被害者の名前や素性を一通り読み上げ顔を上げた。
しかし、ここで一つの疑問が浮かんだ。
「何で、この事件が同一犯だと言い切れるんだ?」
「頭が悪い涙雫君を相手にするのは疲れるわ」
「犯行手口とかなんも言ってないのは戯贈だろ!」
素直に犯行手口を聞いても何かしら言われただろうけど。
「今回の犯行は、前回の斬島と違って統一されているのよ」
「どんな風に?」
「中身がない」
「は?」
中身がない━━どういうことだ? 犯行の中身がないだと統一せいがないということだし。
それを省くとしたら、最悪な気分になりそうな犯行手口だ。
想像しただけでも嘔吐しそうになる。
「やっぱり涙雫君は、頭は悪いけど、理解力はあるのね。大抵の人はその結論に達するまである程度の時間は要するわよ」
と、戯贈。
ずばり予想的中というわけだ。
そう。犯行手口は中身がない。
所謂。
「遺体には、臓物というものがまるで残されていないんだな」
「正解よ、涙雫君」
戯贈は表情を変えずに言った。
そして、戯贈曰く、理解力はある僕は直ぐにもう一つの共通点に気づいていた。
「そして、美人ばかりを狙う━━というわけか」
「あら。気づいていたのね、涙雫君」
そう、今回の被害者は皆、ミスキャンパスやらモデルの卵やらと通常よりも頭一つ分抜けた美貌やスタイルを持つ持ち主が狙われているのだ。
しかも、朧気町近辺のだ。
そのことから、大抵の予想はつく。
多分、犯人は男だろう。美人ばかりを狙って、えげつない殺しをするクソ野郎。
絶対に、これ以上の殺人を止めなきゃいけない。
絶対に、これ以上の殺人という行為を殺さなければならない。
「涙雫君、どうする? 引き受けるか引き受けないかは涙雫君に一任するわ」
戯贈が言った。
だから僕は迷わず、
「引き受けるに、決まってるだろ」
こう言い切った。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし