サイコシリアル [2]
2
「ってことがあったんだよ、戯贈」
場所は変わって僕の部屋。
家に帰ると、何故か先に戯贈が部屋にいたのだ。
サプライズよ━━と、言われた僕は何も言えずに終わったのは言うまでもない。
というよりも、住み込み生活中なのを時々忘れてしまう。
「九紫もやるわね。私の男に手を出すなんて」
「いつから僕は戯贈の男になったんだ?」
「あなたは私の体だったわね。私の体ってことは、私の男という表現よりも重みが増すわよ」
確かに。
一心同体ってことだもんな。
あんまり気にしていなかったけれど世間的には、そこら辺のカップルよりも深い関係ってことだ。
「涙雫君は綺麗な人と可愛い人、どちらが好みなの?」
脈絡もなく戯贈が聞いて来た。
言わずとして、この世の女性には大きく大まかに分けて二タイプの女性がいる。
綺麗系。
可愛い系。
ちなみにこの二つのタイプに戯贈を当てはめるのだとしたら、戯贈は綺麗系だろう。超人的な美貌は備えていないが、道を歩いていたら、十人中八人は振り返る綺麗さは誇っていると思う。対して、九紫は可愛い系の代表的存在ともいえるだろう。
僕個人の観点から言わせてもらえば、そんなの内面を見てみないと分からないのだが、問いよりも拘りが特にない。
いや、本気で恋をしたことがあまりない。厳密に言えば、高校生になってから好きな人というのが出来たことない。
可愛く言うと恋に怯える羊ちゃんって所だろう。
それは何故かというと、僕は悉く振られ人生を送ってきたからなのである。
捲土重来を見せることもなく、捲土重来で魅せることもなく、悉く振られている。
例えば、中学一年生の頃、僕は初めての恋をした。所謂、初恋だ。
毎日毎日暇があれば、その子のことを考えて、考えて。一年が経ち、中学二年生の夏。
僕は生まれて初めて告白ということをしたのだ。
『お願いします。僕とお付き合いということを行いませんか?』
確か、こんな感じだった気がする。
『涙雫君は何考えているか分からないから、ごめんなさい』
こう言われた気がする。
そして、半年後。違う女子に告白した時。
『なぁ・・・・・・僕と一緒に【幸せ】の定義を見つけないか』
確か、こんな感じだった気がする。
『広辞苑でも見たらいいんじゃない?』
こう言われた気がする。
そして、三ヶ月後。違う女子に告白した時。
『僕の銀河は君の為のコスモだ』
確か、こんな感じだった気がする。
『銀河の中で朽ち果てたら?』
こう言われた気がする。
と、まぁ、こんな感じだ。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし