名誉毀損の認定方法
脚注
(1)2ちゃんねるなどの電子掲示板、mixiなどのSNSやTwitterなどのサービスがある。
(2)掲示板の定義の中に、フォーラム・会議室等も含める。
(3)名誉毀損的な内容の電子メールを送付するような場合には、媒体としてインターネットを経由しているが、これは手紙や電話などと同様、侮辱による名誉感情の侵害は構成しても、社会的信用の毀損はしないからである。また、インターネット上での記事では、メディアは新聞や雑誌からインターネット上に移っているが、筆者は特定されており、問題解決もオフラインと同様であるからである。それに対して、掲示板では、大勢の利用者がおり、名誉毀損的発言がなされた場合、不特定多数の利用者がそれを見る可能性があり、社会的信用が毀損される恐れがある。また、問題解決に関しても、誰が書き込んだ発言か名誉を毀損された人が、書き込んだ人を特定する事が安易ではない。この差が現在問題となっている。
(4)インターネット接続業者。
(5)プロバイダー責任制限法第2条3号。
(6)システムオペレーターとは電子掲示板 (BBS) 等のフォーラム全体の運営と管理に責任、権限を持つ者を指す言葉である。
(7)これは確立された判例の準則であり、学説にも異論がない。論拠は、刑法230条、同230条の2である。
(8)平井宣雄『債権各論Ⅱ不法行為〔9版〕』(弘文堂,平成18)
(9)東京地判平成9年5月26日判時1610号22頁
(10)東京地判平成13年8月27日判時1778号90頁
(11)山口いつ子「パソコン通信における名誉毀損――ニフティサーブ事件<メディア判例研究>」法時69巻9号92、94頁(1997)
(12)高橋和之「パソコン通信と名誉棄損」ジュリ1120号83頁(1997)
(13)「論争点と密接な関連がない場合には、まさに「誹謗中傷」となろうが、関連がある場合には、みずから論争に参入した以上甘受すべきではなかろうか。」との指摘がある。同84頁
(14)本稿では、「2ちゃんねる対動物病院事件」がこれに当たる。
(15)高橋・前掲注(12)83頁
(16)本件判決では、「必要かつ十分な反論をしたこと等から、名誉棄損ないし侮辱には当たらない」としている。
(17)電話会社が、電話利用者の住所・氏名等に関する情報を有しているのに似ている。しかし、電話会社が電話発信者の住所指名を受信者に知らせてもよいかと言えば、発信者の住所・氏名も通信の秘密の保護対象であり、発信者の同意なしに知らせることは許されないというのが通説である。また、掲示板上ではこの「通信」は、電気通信事業法四条にいう「通信の秘密」の保護を受ける「通信」とは考えるべきではないと解している。
(18)「不作為による不法行為が成立するためには、結果回避のための必要な行為を行うべき法律上の作為義務を負う者が故意・過失により、要求されている必要な行為を行わず、その結果損害が発生したことが必要である(最一小判昭和62・1・22民集四一巻一号一七頁)」
(19)名誉毀損を認めた事例で、プロバイダー責任や開示請求の当否については実質的な判断を示さなかった。
(20)東京地判平成14年6月26日判時1810号78頁
(21)東京地判平成11年9月24日判時1707号139頁
(22)町村泰貴「動物病院対2ちゃんねる事件第一審判決――インターネットの公開掲示板上で批判・非難を受けた動物病院が,掲示板を運営している個人に対して名誉毀損に基づく損害賠償および当該発言の削除を求め,これが認められた事例」判タ1104号81頁(2002)
(23)「シスオペは、名誉毀損発言を「具体的に知った」場合、つねにただちに削除することを求められるわけでなく、解決に向けた一定の誠実な対応がなされていれば、ある程度の時間的猶予は認められていると判断できる余地があり、これについてはシスオペの業務の性格や言論の自由に対知る配慮の観点から、妥当であると評価すべき」である。
(24)客観的な権利侵害のみを指すのではなく、違法な名誉毀損の存在を指すと解されている。