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ちょっとこっち向いてください

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「引っ越すんだろ」

これは予想外。
なんで先輩が知ってるんだろう・・・。
体を少し離し、先輩は顔を上げてブッと噴出した。
困惑する俺の顔が面白かったんだろう。
「お前の担任が『自分のクラスから一人欠けるってぇのはやっぱかなしぃもんだなぁ』ってぼやいてた」
先輩は先生の真似をしながらそう答えた。
全然似てなさ過ぎて面白い。
「ハハッ先輩似てないよ」
「うっせ」
その場の空気が一気に和んだ。
「俺な、どうせ会えなくなって辛くなるんだったら、お前と恋人になりたくないって思ってたけど。自分の気持ちが伝えられないのすげぇ辛くてさ・・・」
「うん」
「それはそれでお前は告ってくるしさ」
「恥ずかしい限りです」
「たえらんねぇって思った。相手がすきって言ってくれてんのに、答えられねぇの。だから今日は元々言うつもりだった」
「すきって?」
「うん」


先輩と俺はまた歩き始めた。


「会えますよね」
「会いに行く」
「いえ、俺が」
「お、いったな?絶対だぞ?」
「勿論です!」

やっぱり桜の花びらは何人もの人に踏まれてぐちゃぐちゃになっていた。
そこで俺はきずいた。
先輩の肩に桜の花びらがのっかっているのに。
「先輩」
「なに」




「ちょっとこっち向いてください」








  end