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陰陽戦記TAKERU 後編

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 勝負は付いた。
「美和さんが勝った!」
 俺でも分かる、完全に饕餮は消滅した。
 その美和さんは空からゆっくりと降りてくると朱雀の鎧を解除、同じく聖獣の鎧を解除した俺達の側に歩み寄った。
「勝ちました。武様」
「ああ、見てたよ」
 俺は頷くと皆も頷いた。
「美和…… さん、」
 学の肩に手を回しながら加奈葉が立ち上がった。
「加奈葉様、大丈夫ですか?」
「え、ええ……」
 だが加奈葉は美和さんをまともに見る事が出来なかった。
 まだ引き摺ってるんだろう、
「おい」
 俺が言うと加奈葉は口ごもって美和さんに言った。
「美和さん…… ごめんなさい!」
 加奈葉は怒られた子供のように肩をすぼめて謝った。
 美和は加奈葉と面と向き合うとニコリと微笑んだ。
「良いんですよ、もう終わった事です」
「うん……」
 加奈葉は小さく頷いた。
「それより、帰ろうぜ、オレ達はまだ明日学校だ」
「そうだな、長居は無用だ」
「ええ、帰りましょう」
 美和さんが朱雀の宝玉を翳した時だった。
『貴様ら……』
「何っ?」
 薄気味の悪い声に俺達は振り向いた。
 そこには黒い炎のような物が燃えていて、現れたのは半身が消え掛かった饕餮だった。
「テメェ、生きてたのか!」
 俺は鬼斬り丸を抜刀すると皆も身構える、
『我々は不死身だと言っただろう、現実に我々は暗黒を媒介に蘇ったのだ』
「暗黒天帝を?」
 1000年以上前、暗黒天帝は美和さんの仲間…… すなわちオレの前の麒麟の契約者により体を4つに切り裂かれ、魔獣達はその身体を媒介に蘇ったと言う、
『暗黒も元々人間だった。そして同じ人間の裏切りにより魂が魔道に落ちた。その慟哭は我等が魂は海を越え我等を呼び出した』
「暗黒天帝が…… 人間?」
 隣りの美和さんも驚いているから知らなかったなんだろうが、こいつらが元々人間だったって知った後だから俺はそれほど驚きはしなかった。
『そして我々は復活し、この世を破壊しようとした。だがそこの娘…… 貴様の祖先に我々は封印されたのだ!』
「私の…… 祖先?」
「ちょっと待てよ! それはおかしいぜ!」
 辻褄が合わな過ぎる、美和さんがこの時代に飛ばされたのは暗黒天帝の体が切り裂かれて魂だけとなった奴と戦ってる最中って聞いた。つまりこいつ等が復活したのはその後になる。
 それに美和さんは天涯孤独だ。
 そりゃ両親がまだ生きてて四凶を封印したのが美和さんの両親だったって可能性もない訳じゃ無いが……
『そんな事などどうでもよい! 我々の目的は暗黒を蘇らせこの世を破壊して……』
 するとその時、饕餮に変化が訪れた。
 饕餮からの陰の気が噴出した。