陰陽戦記TAKERU 後編
すぐに出立したかったけれども学は用事があると言って家に戻った。俺もさっきの戦いでヘトヘトだから休憩を入れる事にした。
そして2時間経つと学が帰って来た。背中には大きな荷物が背負われている、
「何だそりゃ?」
「ん? ああ…… 秘密兵器だよ」
半年前の戦い、暗黒天帝は自分の時代に変える為にタイムマシンを作り上げた。
しかしタイムマシンの方は美和さんが壊したけれどもエネルギーを内蔵していたバッテリーは無傷だったと言う、
これは戒めの為として学が保管していたのだが、四凶の復活を気にこれを何かに使えないかとあれこれ考えていたと言う、
しかもその中には聖獣のエネルギーが詰っている、奴が元の時代に帰るには強力な陽と陰の気が必要だったからだ。
「そして3日前に完成させたんだ」
「凄いですね」
「学さん凄―いっ!」
拓朗と香穂ちゃんは褒めるけれども学は表情を暗くした。
「どうした?」
「……正直奴の為に使った力をまた使う事になるなんて」
やっぱ抵抗があるのか、すると桐生さんが言って来た。
「学君、力は使い方だ。俺達だって一歩間違えば暗黒天帝と同じだよ」
確かにな、陰と陽の違いはあれど結局は同じ力だ。
力に良いも悪いも無い、例え陰の力でも使い方次第で善にも悪にもなる、
「学、お前は変わるって決めたんだろ? 加奈葉を助けるんだろ? なら以前に加奈葉を泣かせたその力で助けてみろよ! 最強の試練じゃねぇのか?」
「あっ……」
俺が力強く頷くと学も腹を決めて頷いた。
「決まりだな…… でもそれで大丈夫なのか?」
俺は学の荷物を見る、
確かに奴に効くのは陽の気ってのは分かる、
だけど問題は本当に奴に通じるかどうかだった。
「それは分からない…… だけど倒すとまではいかなくとも、怯ませるぐらいはできるかもしれないんだ」
つまりぶっつけ本番になるって事か、
だけど自分の身くらいは守れるって事だな、
「よし、じゃあ野郎に見せ付けてやろうぜ! 人間を舐めるとどうなるかってな!」
「ああ、」
俺は麒麟の宝玉を手に取った。
『武、京の都を思い浮かべろ。特に加奈葉が行きそうな場所が良い』
「行きそうなって言われてもな……」
あいつの行きたい場所なんて京都にあるのか?
「武! もしかしたらあの時……」
学は語った。
それは中学の修学旅行で俺達3人で自由行動になったのだがあいつが風邪引いて寝込んでいけない場所があった。確かあそこは……
「北野天満宮!」
学問の神、菅原道真を祭った神社だった。
「あの時は僕達受験生だったから、みんなでお参りしようって言ってたじゃないか」
「確か合格祈願の御守りだけ買って帰ったんだよな」
いくら四凶に憑依されてても主だった行動はその表意された者により影響される、
実際そう言うのもいくつもあった。
「ええと、あそこは……」
俺は学の肩をつかんで目を閉じると意識を集中させて瞬間移動した。
作品名:陰陽戦記TAKERU 後編 作家名:kazuyuki