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陰陽戦記TAKERU 後編

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 俺の家では美和さんと学の手当てが行われた。
 2人供饕餮の攻撃で腹を刺されたが急所は避け傷もあまり深くなかった。
 だが美和さんは目を覚ましておらず布団で眠っていた。
「朱雀は大丈夫か?」
 粉々にされた朱雀の宝玉の破片は全部回収した。
 しかし朱雀は死んでいなかった。
 具現化はできないが宝玉は時間をかければ元に戻るらしい、

 だが問題はもう1つあった。
 それは学だった。
 さっきも言ったが怪我事体は大した事はない、だが心の傷が深すぎた。
「………」
 さっきから俺は学と目を合わせられずにいた。
 当然だ。付き合っていた加奈葉が実は俺が好きだった。
 つまり好きでも無かった男と仕方なく付き合っていた事になる、
「武君?」
 俺が見ると桐生さんと拓朗と香穂ちゃんはテーブルに付いていた。
 この状態は俺達は一々話さなくても分かる、
「学君、そのままで良いから君も聞いて欲しい」
 そして会議が始まった。
「状況は最悪な事になった」
 暗黒天帝が生きていた。俺達が倒したはずだったのに……
「恐らく、万が一の為に加奈葉さんに自分のバックアップを残して置いたって事だろう、そして時間をかけて加奈葉さんの中で復元して復活の時期を待っていた」
「ちょっと待ってください」
 拓朗が割って入る、
「問題なのは四凶がどうしてそれを知っていたかですよ」
「確かにな、やっぱりあいつらは暗黒天帝と関係が合った事になる」
 もしかして友人か何かか?
「暗黒から産まれた。これがキーワードなんだけど……」
「それよりも先に饕餮を探そうよ! 加奈葉お姉ちゃんが心配だよ!」
 香穂ちゃんが言してくる、
 確かに奴らの関係なんて考えても仕方が無い、第1に考えるのは奴の居場所だ。 
「白虎、奴の気配を追える?」
『任せろ香穂』
 香穂ちゃんの膝の上で白虎は意識を集中させた。
『……駄目だ、気配が途切れてる、だが真っすぐ西の方に行ったのは間違いないよ』
「どの辺りで消えた?」
『……そうだな、今で言うと横浜辺りだ。僕でも追えない場所に行ったようだ』
 かなり遠い所って事か、厄介だな……
「一体どこに……?」
「……京都」
「えっ?」
 学が呟いた。俺達は一斉に学を見る、
「学…… お前」
「気にするな武、僕もいつまでも落ち込んでられないよ」
 と言ってもかなり無理してるのが分かる、
「……まぁ、何の確証も無いんだけど」
「無いよりはマシだ」
 俺は言う、すると学は咳を払う、
「四凶は暗黒天帝に関連している、美和さんや奴は1000年前とは言え元々京都にいた訳だし…… 感なんだけど」
「いや、その感は合ってるだろう、俺も1から奴等を調べ直して、一番最初に事件が起こったのは京都だからね」
「じゃあ早速京都に……」
「ちょっと待って! 美和お姉ちゃんはどうするの?」
「あっ、そうか……」
 負傷して眠っている美和さんをほおって置く事も出来ない、一緒病院に預けるか?
「どうやって説明するんですか?」
 拓朗の言うとおりだ。
 いくら怪我人とは言え事情を説明しなきゃいけない、
 まさか四凶にやられましたなんて言っても信じてもらえる訳がない……
「応急手当はしましたし、後は目が覚めるのを待つだけですけど……」
「でも置いて行く訳にもいかないしな……」
 一緒に京都に連れて行くか? だけどどうやって?
「京都なら車でいけるよ、ガソリン代が大変だけどね」
「麒麟、テレポートできないか?」
『お前が京都に行った事があるなら可能だ。だが俺の力だけではあと1人くらいしか連れて行けないぞ』
 確かに、今までは朱雀と美和さんがいたから何とかなったけど、今は朱雀がいない、 
 俺は誰を連れて行くか決める為に仲間達を見回した。
 桐生さんか拓朗か香穂ちゃん、
 やっぱり加奈葉を助ける事を考慮すると桐生さんか……
「待ってくれ!」
 すると学が言った。
「僕を連れて行ってくれないか?」
「学を?」
「それは無茶だ! 危険すぎる!」
「そうですよ! 相手は四凶ですよ!」
「大体戦えないのに……」
「戦う戦わないの問題じゃ無い! 僕は加奈葉ちゃんを守りたいんだ!」
「学……」
 すると学は肩を落とした。
「知ってたよ、加奈葉ちゃんが武を好きだって…… でも僕は加奈葉ちゃんを諦めたくなかった」
 学は加奈葉の心が自分に無いって事を知っていたらしく、
 暗黒天帝と結託していた時に力を手に入れて自分に振り向かす事が出来るかもしれないと思った。
「あの時加奈葉ちゃんは僕を最後まで心配してくれた。そして僕の為に泣いてくれたんだ。 そんな事をしてくれたのは加奈葉ちゃんが始めてだった」
 それもそうだ。
 俺はこいつが虐められている時に庇ってやる事しかできなかった。
 こいつの心の闇を振り払い、救ったのは間違いなく加奈葉だ。
「だから今度は僕は彼女を助けたいんだ…… だから頼む武!」
 学は頭を下げた。
 以前なら泣いてるだけだったけど、今回は自分から危険な場所に向かおうとしている、やっぱりこいつも男だ。
「……分かった。じゃあ行くのは俺とお前だ。」
「武君!」
「いいんですよ、俺も気持ちは分かりますから」
 もし俺が逆の立場なら意地でも一緒に付いて行った。
 大事な人を救いたいって気持ちは同じだ。
「一緒に加奈葉を助けるぞ!」
 俺が腕を学の前に出した。
「ああ、」
 学は微笑して俺の手をガシッと?んだ。