陰陽戦記TAKERU 後編
突然近くの電柱や掲示板、外灯などがグニャグニャに曲がった。
「これは……」
この光景は見覚えがある、これは……
「武、あれ!」
俺は加奈葉の指差した方を見る、
そこは大学の講堂の屋上で白い物がグルグル回っていた。あれは……
「渾沌? バカな!」
奴は桐生さんが倒したはずだ。それが何で?
「とにかくみんなに……」
俺は携帯を取ろうと上着に手を当てようとする、
だが突然香穂ちゃんように登録してある『元気炸裂・ヤッタルダー』が鳴り響いた。
『お兄ちゃん大変、窮奇が出た!』
「窮奇が?」
俺は耳を疑った。
窮奇は香穂ちゃんが倒したはず、なのになんで?
「香穂ちゃん、今何処だ?」
『商店街だよ、こっちは大騒ぎ!』
「こっちも渾沌が出た。倒したらすぐ行く!」
俺は携帯を切る、
そして麒麟の宝玉を取り出そうとするとその時だ。
今度は拓朗用に登録しておいた『ザイド』の着メロが流れた。
「この忙しい時に……」
俺は携帯に出る、
『あ、先輩ですか? 大変です。川原で檮杌が出ました!』
「なっ?」
そっちもかよ、香穂ちゃんも窮奇が出たってのに……
「拓朗、俺の方にも渾沌が出た。香穂ちゃんの所にも窮奇が出たらしい、とにかく1人で頑張ってみてくれ!」
俺はそれだけ言うと携帯を切った。
「加奈葉、美和さんに連絡を入れてくれ、何とかなるだろ!」
「うん」
俺はそれだけ言うと麒麟の宝玉を手に取り鬼斬り丸を召喚した。
「時間が掛かっちまったが…… 速効で行くぜ!」
俺は白虎の力で屋根の上に向かった。
作品名:陰陽戦記TAKERU 後編 作家名:kazuyuki