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陰陽戦記TAKERU 後編

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第九話 奪われた記憶と最後の四凶


 暗い森の中を少女がフラフラになって歩いていた。
 全身傷だらけで何日も何も食べておらず、意識が朦朧として体力も底をつきかけていた。
「はぁ…… はぁ……」
 少女は何故こうなったのか、何故このような苦しい目に合わなければならないのかが分からなかった。
 生まれた頃から天涯孤独、寺に孤児として育てられていたが物心ついた頃から人には見えぬ『モノ』が見え、触れる事もで来きて会話する事も出来た。
 住んでいた村の人々は少女を『物の怪』や『狐の子』と罵り忌み嫌い、村に干ばつが起こり作物が育たなくなると人々は狂気に目の色を変えて鎌や鍬などを振りかざして少女の責任と決め付け命を奪おうとした。育ての親である寺の住職も少女を差し出そうとするが話を聞いてた少女は村を飛び出したのだった。
「うっ……」
 ついに歩く事すらできなくなりその場に倒れた。
 もう終わる、これで楽になれる、そう思い目を静かに閉じた。
 だがその時、強い光が少女を包み込んだ。
『目を覚まして』
「……え?」
 透き通った声が耳に入り目を覚ます、
 するとそこには頭から尾まで真っ赤な鳥が大地に降り立って少女を見下ろしていた。さらに足音が響くと1人の身なりのいい男が少女を抱き上げ、近くにある牛車まで連れて行った。

『美和、美和っ!』
「ううぅ~ん」
『起きなさい美和! 武から電話よっ!』
「はっ?」
 美和は目を覚ました。
 今日はアルバイトが休みと言う事で家の掃除をしていたのだが少し一休みして茶を飲んでいたのだがいつの間にか眠ってしまったのだった。
「えっ、えっ?」
 美和は未だ夢の中なのか首を左右に振って部屋の中を見回した。
『美和、携帯! 武から!』
「ええっ? あっ!」
 目の前の携帯から武用に登録したノラえもんの着メロが響く、
 慌てて手に取り通話に出た。