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陰陽戦記TAKERU 後編

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 日も暮れかかってる町中を俺はチャリを飛ばした。
「あの野郎、一体どこほっつき歩いてやがる?」
 商店街、公園、河原…… あいつが行きそうな所は一通り回ったが白虎の気配はつかめないままだった。
『あいつは3分と同じ場所にいられないからな』
 麒麟もポケットの中から言って来る、そう言えば美和さんも言ってたな、
 やっぱりあいつは虎じゃなくて猫だ。
『虎も猫も同じだよ少年君』
「あ、そうか…… って何っ?」
 俺は急ブレーキをかけて後を見る、すると荷台に白虎が鎮座していた。
『いきなり急ブレーキは良くないよ、交通ルールは守りたまえ』
「お前!」
 俺は白虎に香穂ちゃんの事を話した。
『ああ、あの事か』
「あの事ってお前なぁ!」
『大体玄関に置きっぱなしにしとくから悪いんだよ。ランドセルと一緒にほったらかしにしといたらどうぞ食ってくださいって言ってるようなもんだろ!』
「だからって勝手に食って良い理屈にならないだろ、とにかく謝って来い、俺も謝ってやるから!」
『嫌だね』
「なっ?」
 白虎はそっぽ向いた。
『あそこには帰る気はないよ。香穂がそう言ったんだ』
「おい白虎」
『大体香穂も香穂だよ、いつも何も言えないクセに都合のいい時だけ怒るんだからな』
「おい、いい加減に……」
 さすがに俺も頭きた。今のは明らかにこいつが悪い。
『待て武』
「何だよ?」
 突然ポケットの中から麒麟が出て来て白虎の前で具現化した。
『一体どう言うつもりだ?』
『何がだい麒麟?』
『お前は平安京にいる間は少なくとも女子供だけは泣かした事がなかった。それなのに香穂とは喧嘩した。何かあったのか?』
『……別に』
 白虎はふてくされてしまった。
「……まぁとにかく香穂ちゃんの所に、ん?」
 するとその時、俺の携帯の着信が鳴り響いた。
 ノラえもんの着信は美和さんからだ。
「美和さん、どうした? ……美和さん?」
『……武……様……』
「美和さん!」
 美和さんの声が聞えなくなった。
 今のやり取りからしてただ事じゃない!
『武! 四凶の気配だ!』
「まさか!」
 俺は嫌な予感がした。
 だけどそれを確認するにも早く行かなければならない、俺はチャリを放り捨てると麒麟で白虎の力を解放した。