陰陽戦記TAKERU 後編
俺達は家に入って茶を入れると一緒にケーキを食べながらこの前の戦いの事を話した。
「へぇ、じゃあ美和さんも変身できたんだ」
加奈葉が尋ねると美和さんは首を横に振った。
「いえ、私も初めて知りました。あんな事が出来るなんて……」
『そうなのよ、そうしたらあんなに力が出せたのは始めてだったわ』
テーブルの上で美和さんから貰った苺を突付いていた朱雀が言ってくる。
「それを再現してたんだけど…… ちっとも上手く行かないんだ」
「だろうな、あの時あって今回無い物とすると……」
「まず敵がいない」
当たり前だ。そうそういてたまるか!
「……もう一度力を発揮した場所に行ってみたらどうだ? 何か分かるかもしれないだろ?」
「確かに、手がかりがあるとすればあそこですけど……」
「そうだな、じゃあ早速……」
俺は立ち上がろうとすると扉から呼び鈴が鳴った。また客か?
「は~い、どちら様…… えっ?」
玄関の扉を開けるとそこにいたのは香穂ちゃんだった。しかも涙目だった。
「お兄ちゃ~ん……」
「香穂ちゃん、どうしたんだよ?」
「うええぇぇん!」
香穂ちゃんは俺に飛びついてきた。
作品名:陰陽戦記TAKERU 後編 作家名:kazuyuki