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陰陽戦記TAKERU 後編

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「これは……」
 俺を庇ってくれた物体は巨大な氷だった。って事は……
『何ッ?』
 鬼の足元には砕かれた氷塊が落ちていた。
 背後を見るとそこにいたのはママチャリに乗って玄武のハンマーを持った拓朗だった。
「すみません、遅くなりました」
「拓朗!」
 天の助けだぜ、拓朗が来てくれれば何とかなる。
『野郎ッ!』
 檮杌はさっきの力を使ってパトカーを持ち上げた拓朗を襲った。
「玄武っ!」
『承知!』
 拓朗はママチャリから降りると玄武のハンマーを振るってパトカーを弾き飛ばした。
 相変わらずスゲェ威力だ。
『武、今のうちだ!』
「あ、ああ!」
 俺は美和さんに駆け寄ると玄武の力を使って回復した。
 幸い美和さんはすぐ目を覚ました。
「……武様?」
『良かった。美和!』
「今拓朗が来てくれたよ」
 拓朗は今鬼と戦ってる。
 だが拓朗は押されていた。
 パトカーなら何とか飛ばせるがガチの勝負となると拓朗は不利、スピードもそうだが相手はバリアに阻まれて攻撃が届かない。
「美和さんはここにいてくれ」
 俺は拓朗に近寄る、
「うおおおおっ!」
 俺は鬼に背後から斬りかかる、しかし鬼は身を翻して交わしてしまった。
『2対1か、面白れぇ!』
 檮杌の体が紫色に輝くと武器化した奴の形状が次第に変化していった。
 柄の長いポールアクス状の両手用の武器から赤と青の片手用のトマホーク状となって両手に収まった。
『死ネェェ!』
 鬼が檮杌の手斧を交差させるとと紫の怪光線が発射された。
 俺と拓朗は横に跳んで交わすが光線は俺達の後ろの警察署をぶち抜いた。
「何て威力だ……」
「これは…… 磁力?」
「磁力?」
 なるほどな、それでさっきパトカーを持ち上げたんだな、
 さらに磁力波を一点に集中させ放出した。そんな所か……
「だけどどうします?」
 それは俺も困った。
 相手が磁力を操るとなると分かるとスゲェ厄介だ。
 俺達の攻撃はさっきの攻撃で阻まれちまう……
「待てよ? じゃあ何で?」
 俺はさっきの美和さんの攻撃が届いた事に気が付いた。
 注意がそれてると使えないのか? いや、そんなミスをするとは……
「……なるほどな、そう言う事か」
「先輩?」
「拓朗、俺が合図したら一気に行け!」
 俺が横目で見ると拓朗は頷いた。
『何をゴチャゴチャと…… 良い加減に死ねッ!』
 檮杌は再び磁力波を放った。
 すると俺は朱雀の力を解放した。
「死ねるか――ッ!」
 俺が鬼斬り丸を突き出すと刀身から巨大な炎が噴出して磁力波を相殺した。
『な、何だとっ?』
 檮杌は驚いた。
 ざまぁみやがれ! 磁力ってのは高熱に弱いんだ!
「拓朗、今だ!」
「はい!」
 拓朗は走る、
 さらに俺は麒麟の力を使うと刀身が巨大化して鬼の体を貫いた。
『グオオオッ!』
 鬼の手から檮杌が落ちる、俺が刀身を引っ込めると拓朗の玄武のハンマーが黒く輝いた。
「はああああっ!」
 拓朗が大ジャンプ、
 頭から思い切りたたきつけると鬼は倒れてコンクリートを砕いて倒れ大爆発、鬼に憑依された強盗殺人犯は元に戻った。
『チッ、よくもやりやがったな……』
 地面に落ちた2本のトマホークは再び一つになると檮杌に具現化した。
『このままじゃ済まさねぇ、覚えてろッ!』
 檮杌は黒い球体となって空に飛んで行った。また逃がしたか……