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陰陽戦記TAKERU 後編

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 俺は学長室の隣りにある応接室にやって来た。
「失礼します」
 俺はノックして中に入る、奇麗な日当たりの良い部屋の窓際には観葉植物、壁にはモナリザの絵が立てかけられている。
 そして中央には牛皮の高そうなソファーがあり、ソファーには2人の男性が灰皿の置かれたテーブルを挟んで向かい合わせに座っていた。
 そこで待っていたのはこの大学の学長の吉田智一氏と名前も顔も知らない初老の人だった。
 黒いスーツにメガネを掛けた顔に皺の目立つ、いかにも執事と言った感じの人だった。
 学長はソファーから立ち上がると俺に言った。
「この方が話があるそうだ」
 その人は立ち上がった。
「藤岡武様ですね?」
「あ、はい」
 俺は頭を下げた。
「私は京都の大富豪、日野酉家の使いで、長谷川三郎ございます」
「日野酉家?」
 俺が顔を顰めると学長は複雑な顔をしながら俺に近づいてきた。
「……随分、凄い方と知り合いだったんだな」
「えっ?」
 いや、そう言われても全然分からない、俺だって始めて会った。
「今日は藤岡様にある物をお届けしに参りました」
 するとその人は自分の隣りに置いてあった赤い紐が結ばれた古い木箱をテーブルの上に置くと紐を解いて蓋を開けた。
 中には5つの水晶玉が入っていた。
「これは?」
 大きさだけなら聖獣の宝玉に似てる、だけど違うのはこの水晶は透明だって事だ。色が無い、
「これは先祖代々、日野酉家に伝わる物にございます。」
 そう言って俺の前に差し出した。俺は中央にある水晶玉を手に取った。
 だけど普通の水晶玉だった。聖獣の宝玉じゃない、感触は似てるけど、
 渡す相手を間違えたんじゃないかと俺が悩んでいると学長は咳払いをして来た。
「今日はぜひともお前に会いたいと言う人が来ているんだ」
「えっ?」
「お隣りでお待ちなんだ。」
 隣りって学長室だよな、その学長室に行くには一般生徒は一度外に出なければならない、しかし俺は特別にこの部屋から隣りに行かせてもらえる事になった。
 長谷川さんが扉をノックをする、
「お嬢様、藤岡様をそちらにお送りします。よろしいですか?」
「……はい」
 声優か歌手でも目指してるのかと思いたくなるくらい奇麗な声が聞えてきた。
 しかし懐かしい声だった。
 長谷川さんが扉を開けると俺は中に案内された。
 そこでは1人の女性が立っていたのだが、その人を見た瞬間俺は心臓が止まるかと思った。