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初恋

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 夏が終わり、秋が来て、新学期が始まって少ししてから相良君が退院してそれきり、学校では事件のことはうやむやになってしまった。
 芹沢君とはその後、一度も同じクラスになることはなく、中学を卒業したあと、芹沢君が金魚の糞よろしく相良君と一緒の関東の高校に行ってしまって、それっきりだ。
 芹沢君が古賀先輩を目で追っていたことを、なんで私が知っていたのかというコトについては、結局言わずじまいで終わった。
 別に珍しいことでもなんでもなく、長い人生、そう言うことは多々あると思う。
 言わなくてもいいことを、やっぱり言わずに済ませてしまう、なんてことは。




 なんともいえない優しい目線。
 なんてことはない表情で、雑談に軽口返しながら、ひっそりと、誰にも解らないように。
 目で追う。視線の先にあるもの。




 どこにでもある、なんてことはない、ただの初恋の話。








=END=
作品名:初恋 作家名:ミカナギ