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さらばしちはちくがつのなきがら

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エンドレス・サマー




ぬかるみを蹴りあげて靴を汚した。
虹が出ればいいと思った。
濡れた電柱が夏のまひるにのびる影のようだったから、俺は七月を思い出して、それはつまりあなたを思い出したのだ。

春の春雨夏の梅雨、秋の霖雨に冬の時雨になんだ結局一年中降るんじゃないかとぼやいた横顔は正直なところ、あまり記憶にない。
緊張に似た痛みが胸をさしたこと、それを思い出したのだ。
それはつまりあなたを思い出したのだ。

心を逸れて頬にふれた指先や伝えるだけで伝わる気がしたこと、
言いたくないことばかり言ったことや言いたいことだけ言えなかったことや
この世の一切を遠ざけるようなさよならをしたこと、それが七月だったものだから、
雨が降るたび無防備になって、俺は鳥肌をたてる。
袖がなくても平気な季節のつもりになる。
だから俺は暑いくらいの厚着をする。

冬は永くて、夏が遠い。
永くて遠い。
永遠だ。
エンドレスサマーはそこにある。

冬の空は夏の空よりも青い、けれど、
春の青は夏の青よりも青いだろうか?

青いのが春だとしても、
思い出すのはいつだって、