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さらばしちはちくがつのなきがら

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屋上




俺の持っているのは痛みばかり。
口のなかと、もっと奥のと。
隣で誰かさんはこないだ飽きたと言ったレモンのアイスを噛っている。
飽きたんじゃないのと訊いたら惰性だよと返された。
その言葉にエロを感じた。

「今日さあ、おんなじとこ三回も噛んだ」
「いつものことじゃん」
「ちっげーよ、口んなか」
「え、ああ」
「ひっで、」
「うはは」

どれ、と覗き込んでくる仕種、
少し怖じけづく我を無理に前のめりさせて、下くちびるの内側をひらいてみせた。

「ううわ、赤え」
「いひゃいんらよう」
「なめてやろうか」
「え、」
「うそだよ」
「……あのひとに言ってやる」
「うそだっつーの」

眩しげにわらった。
そういえば夏だった。

「冷やせ。色々なところを」

ああやっぱり飽きたんだ。
めくったままの下くちびるに、レモンのアイスが突っ込まれた。