小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

繋がったものは4

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 本当は、「堀内の懐刀」という関係が正しい。高校生の頃から、仕事を叩き込んだから、あの年で、金の流れ方というものをきっちりと把握している。そして、その金に執着しないし、言われたこと以外は興味がない、という、滅多にない貴重な道具だ。今更、勝手に壊されたり奪われては、堀内も困る。あれがいないと、関西方面は機能しない。東川、嘉藤、佐味田は、堀内の子飼いだが、能力的にはかなり劣る。そして、金には執着する。だから、任せるには、それなりのリスクがある。その点、水都には、それがない。ついでに言うと、金で動かないので、仕事以外の命令は聞かないし、どこからかヘッドハンティングされても動く心配もなければ、情報を売られる心配もない。これらを天秤にかけると、やはり便利な駒だということになる。

「うちの愛人さん、なかなか人気もんで困るわ。」

 沢野にも声だけはかけておくかねと、連絡したら、相手はカラカラと笑って、「そんなん接触させんと切ってまえ。」 と、おっしゃった。

「けど、肉親がほんまに死んでたら、遺産相続の権利あるやろ。」

「おまえはあほか? 堀内。みっちゃんが、金なんか欲しがると思うかえ? それ、死んでたら財産放棄しよるだけや。」

「あ、せやった。」

「・・・・まあよろしい。ほんまに死んでるんやったら、わしの弁護士派遣したろ。目一杯まで財産引き出して、みっちゃんにあげんとな。」

 けけけけけ・・・と、沢野は笑っている。高額なら、沢野のことだから資金運用してやるとかなんとか言うて取上げるつもりなのだろう。それを隠し金にして、さらなる会社の規模拡大に勤しむに違いない。沢野とは、そういう男だ。

「みっちゃん相手に、阿漕なこと仕掛けるつもりか? 」

「ほほほほ・・・・わしの可愛いみっちゃんに、そんなんせぇーへんよ。うちの株を買おてもらうつもりや。ほんで、役員にでもしたったらええがな。」

「それこそ嫌がるわ。」

「かまへんかまへん。わしは憎まれ役でええねん。みっちゃんの将来ためやったら喜んで憎まれたる。」

「・・・・・・いつ、51パーセント保有になりますんや? 」

「みっちゃんが、社長から三分の一貰い受けてくれたら成立する。それから上場するつもりやから、売ったらみっちゃんは儲けが入るっちゅー寸法や。」

 実は、これには嘘がある。水都名義の株式は、すでに相当数存在している。周囲に阻止されないために、沢野と堀内の名義にしていないからだ。ほとんど株主は、役員を兼務しているので、背任行為を脅しに使って、株式を買収した。残るは本丸の代表取締役だ。こちらも、脅しの材料は一緒だが、脅すのは水都ということになっている。実際、水都には与り知らないことだが、沢野が、そのようにするつもりだった。だから、今更、水都から資金なんぞ必要ではないのだ。そして、換金させるつもりもない。なんせ、水都は全然、知らないのだから。

「つくづくと敵に回したないわ、沢野はん。」

「お褒めに預かり光栄やわ、堀内。」

 情報の確認が取れたら、こっちにも回してや、と、命じて沢野は連絡を切る。中部から動けない理由は、これだった。こちらが関西へ戻ると、中部の役員たちが連絡を取り合うからだ。今は、下手に仲良くされたくないから、本社で居座っている。




作品名:繋がったものは4 作家名:篠義