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すずめの唄

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いもうともいいました。
「わたしも、おにいさんがほしい」
ふたりはかんがえて、いつもとおなじようにすることにきめたのです。
――おにいさんをはんぶんこにしよう!
ふたりにとってそれはとてもすてきなかんがえでした。
おかしもおもちゃも、だいすきなものはみぃんなふたりではんぶんこにしていたからです。
でもおにいさんをはんぶんこにすることはできませんでした。
ふたりはいっしょうけんめいがんばったのですが、おにいさんはこわれてしまったのです。
ふたりはとてもざんねんで、かなしくなりました。
でもこわしてしまったことがパパやママにバレるとおこられてしまうので、ふたりはじぶんたちがおにいさんをこわしたことをがんばってかくしました。
おにいさんのことはふたりだけのひみつなのです。
それからもずっと、ふたりはいれかわってあそんでいます。
だれかがきづくまで、きづいてくれるまで、ずっと。



今日の『私』は『詩織』で、あしたの『わたし』は『あやか』。
嗚呼、でも『ワタシ』のほんとうの名前はなんだったかしら。
『ワタシ』はいったい誰だったのかしら。
誰かがもういいよといってくれたとしたら、『ワタシ』はだれになればいい?
同じベッドで眠る『自分』を見てそう考えたのは誰だったのか、少女たち自身にさえも、もうわからなくなっていた。



あの日、笑っていたのは誰?
作品名:すずめの唄 作家名:真野司