はっぴぃにゅういやぁ
初詣へ行く(1月3日)
こんにちは、エミィです。
私はいま、大変驚いています。
初詣の、人混みに!
さすがにこの人混みでカンカンと一緒に行動はできません。彼は、神社の後ろに広がる森の中へ避難しました。
いつも歌っている公園でアキさんと待ち合わせした後、この神社へと来たのですけれど、とても鮮やかな赤色をした門から人があふれていたのです。目的地は更に奥だと聞いて、私、めまいがするかと思いました!
アキさんもとってもきれいな振り袖を着ているのですけれど、初めてなのだそうです。お互い着慣れない振り袖にこけそうになりながら、少しずつ前へと進みました。
「小銭、持ってきた?」
「ええ」
小さくて、趣のある立派な家の前に、大きな箱がおいてあります。そこに、小銭を入れるのだそうです。垂れ下った太い綱を振って鈴をガラガラと鳴らし、私は握りしめた5円玉を、アキさんを真似て放り投げました。
そして手を叩いて、お辞儀をして。
見よう見まねの適当ですけれど、いいかしら?
お願い事をする前に、謝罪の言葉を付け加えておきました。
けれども興味深いですわ、心を読む占い師のかたがいるのでしょうか? もしそうだとすれば、この国の人々は、このときだけ占いを信じるということなのかしら? それとも神社という場所だけに限定しているのかしら。色々と疑問が浮かび上がって、お願い事になかなか集中できませんでした。
説明を受けたとき、アキさんに訊ねたのですけれど、とても難しそうな顔をされましたわ。
「あんまり考えたことないわねー。でも、この国の神様が、お願い事を聞いてくれているのよね、たぶん」
「かみさま?」
「エミィの国に宗教とかないの?」
「ありますわ。けれど、」
説明しかけて、私も首をひねりました。
どう説明すれば良いのかしら? とても当たり前すぎて、あまり考えたことありませんでしたけれど、私の国では宗教と国家と占いが密接に絡み合っているのです。
「難しいですわ」
苦笑いを浮かべると、アキさんも微笑みました。
「願い事を叶えてくれたらうれしいなあっていう、願望かなあ。私は、自分に言い聞かせるつもりでいつもお願い事してる。今年はこれするぞっていう」
「なるほど……」
私たちは周囲の人々に押し流されるようにして、小さな家を後にしました。あの中に、かみさま、がいらっしゃるということなのでしょう。
それから絵馬にお願い事を書いて(ここでも願い事!)、私たちは再び揉まれるようにして、おみくじと書かれた小屋の前へ到着しました。
するとそこで、ある人を見つけたのです。
「まあ!」
エー介どのではありませんか。そしてその隣には、エー介殿よりやや小柄な殿方がいます。見知らぬ顔。けれど、エー介殿と親しい感じですわ。そしてあれは、いっくんと未逆さま?
「お揃いじゃないの」
アキさんはにやりと笑うと、ぐいと私の腕をつかみました。
作品名:はっぴぃにゅういやぁ 作家名:damo