小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

I hope so,,,

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

きっと彼女のほうも分かっていたのだろう。この恋愛はきっと将来の自分を駄目にする恋愛で、一時が楽しければいいと、そんな周囲の若者のように合わせられなかったことを。
――でも俺は確かめたかった、彼女が俺を想ってくれているのかどうか。


                ※



 結果的にいえば相手の気持ちはすでに分かっていたのだから成功はしていた。
「私も浩介君のこと好きだよ。というかもう付き合ってるようなもんだよね私たち、ははは」
 そんなあっさりと返されて拍子抜けというよりわかっていたことだった。
そうだ、付き合う事自体は問題はない。問題は別にあるんだ。
「難しい事考えたらだめだよ。今を楽しもうよ」
 彼女は俺が先の事を考えてるのが手に取るようにわかるようだった。
 しかし、付き合った彼女は目に見えて態度が変わった。我侭な態度をとったというかおごる機会が増えすぎたというか、そんなのだった。先に俺は愛想をつかしていたときに彼女からメールがきた。変に彼女らしくないディープな口調だった。
『私やっぱり面と向かって本音を言えないの。
あなたはずるいと思うかも知れないけど面と向かうと素直になれないし恥ずかしくなってしまうの。
だからメールにするわね。この先のことは貴方の好きなようにしてくれて構わないから。
私は貴方の気持ちに立ち入ることはできないからね。
私の考えがなぜコロコロ変わるか私が上からものを言う態度を取るのはなぜかコウちゃんはそう聞いたね。
私が11月から貴方と一緒にいてずっと意識していたことは愛されたいってことだったの。
もちろん貴方が親切にしてくれて尽くしてくれて愛してくれたことは知ってた。
だけど一方でこうも思ってた。
私が彼より少し上の立場にたってなければ彼は私を軽んじるし、尽くして慈しんではくれないって。
だから私はあなたに偉そうな態度で接した。
貴方が我慢しているのも知っていたし罪悪感もあった。
けれどずっと愛されているためにはそうするしかないと思ってた。
体のことは別よ。あれは私の信念だから。
でも先述のことは冷静に考えて利己的だとも思ったしあなたの誠意をどう受け止めるべきか悩んだりしたわ。
私が少しでもあなたに愛を見せればきっとあなたの私への愛は薄れてしまうと思った。
あなたは我慢してくれたわね。
その一方で私はあなたの前で偉そうに振舞って上の立場に立っていることに慣れてしまったの。
だんだん高慢になっていく自分を感じたわ。だけどどうしていいかわからないの。
ずっと混乱していたわ。今回のこともその混乱の中で起きたの。
言い訳ではないわ。冷静に私自身を分析してるの。
あなたに素直に情を見せて素直に会いたいと告げるのか、あなたが会いたいと言ってくれるまでまた高慢に待つのか。
私は高慢に待つことは賭けだと知ってた。でもきっといつもの優しいコウちゃんが会いたいと言ってくれると高をくくってた。
勝手なの。
でも会いたくないと言ったのは高慢さから来るもの。
今までだってそう。
私が拝金主義のように見えたのも愛され続けたいがための駆け引きからわざと冷たさやずうずうしさを見せたから。
冷たい人間に見せれば貴方は私の心を開くためにもっと愛してくれるんじゃないかってね。
私があなたの悩みを聞いて一緒に涙を流したのは私の心の底から起こった行動だったわ。
貴方にあげたプレゼントも全部心のままに動いたわ。だから返すと言われると寂しいの。
受け取れなかった。
一方で私はずっと駆け引きをしてた。
コウちゃんは頭のいい人だから私の根本にあった葛藤を想定して考えてくれれば移り気な意見の理由が分かるでしょうね。
長々こんなことを説明してもどうしようもないし過ぎ去ってしまったことだから仕方ないわ。
貴方が私へ愛をくれて誠意をくれたことに私は気づきながらそれに乗じて高慢になって何もしてあげられなかった。
誠実には誠実をと言ったけれど私はそれを実行してはいなかったわね。
行き過ぎた高慢に今更戻ってどうすることもできなかった。
だけど貴方に優しさをあげたくてとても悩んだわ。
あなたにはもちろん相談できないから寝たふりをして一人で幾晩も泣いた。
私は自分の高慢でこれまでにも大切なものをたくさん失ってきたからコウちゃんのことは失いたくないと思ってた。
不快な思いをさせてしまってごめんなさい。
だけど結局貴方になにもしてあげられなくてごめんなさい。
最後にあなたに謝りたかったの。
いろんな所に連れて行ってくれてありがとう。
初めて池袋の水族館に行って手を繋いだこと、初めてキスをしたこと、クリスマスに横浜の街を手を引いて歩いてくれたこと、
元旦に初詣に行ったこと、学校帰り家まで送ってくれたこと、みんな楽しかったよ。
愛してくれてありがとう。
利己的で自分がどう貴方と接したらいいか悩んでそれであなたを振り回してしまったことごめんなさい。
気づいていたのに行動できなかったわ。
私はそんなに強くないからそれを見せるのが怖くて。
コウちゃんがどう考えるかは分からないけれど永遠に愛されていたくて駆け引きをしていたことわかってほしい。
ありがとう。
ごめんなさい。』
 長々しいメールだった。
絶対彼女は嘘をついてる。そうおもった。
だって、僕らが考えてることはそんな一時の事より将来の壁のことをきっと思って強引に引き離すように理由付けをしたんだ! 
きっと付き合うことも記念、思い出そうやって位置づけるためのものだったに違いない! 俺はそう思った。
俺らが付き合い続けることはきっとお互いのためにならない、そのための苦肉の策だった。そんな言いにくいことを彼女は先んじて言った。それは多分、どちらかが言うことは分っていたから、彼女なりの思いやりなのか・・・・・・俺は簡単にメールを返信した。
「わかった、別れよう」
彼女の長文に対して俺は一言。そんな短絡的に俺達の恋愛は終わった。くそ、頭の中で理解していても泣きたい。泣き崩れたい、けど泣けなかった。
翌日から彼女とはもう会わなかった。苦しいけどそれがお互いのためだから。彼女とすれ違うたびに目から涙がでそうになるが堪えていた。
こうして俺達は互いに自分の人生に一直線に進んでいった。俺は司法試験に受かり大学生活を、彼女は薬剤師になるべく青森県にいくことになった。クラスですれ違ったりしても俺達は目を合わせるだけですれ違うということを何回も続けた。
俺にはわかる。彼女と目で会話した。
「私と会ってないけど大丈夫?」
「いいや、ちょっと寂しいけどね」
 そんな簡単な事かもしれないけど会話してるように思えた。冷静に考えて俺達の恋愛は遠距離の形にしてもきっと続くんじゃないかと思った。多分、次付き合ったら結婚確定だ、とかさえ思っていた。多分彼女もそう思っていたんだろう、けど俺たちには目の前の進むべき未来があって、それが俺たちの恋愛を邪魔した。俺たちは臆病で、無力だった。そんなことを感じざるをえないガキだったのだ。
「生まれ変わったらまたあおうね」
 彼女との最後のすれ違いざまの目はそういってた。俺は家に帰って彼女の最後の顔を思い号泣した。
作品名:I hope so,,, 作家名:。。