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川口暁
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僕が扉を開けると
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眠るチーズ
僕が扉を開けるとそこにはチーズが立っていた。
その真っ白な香りのチーズは、立ちすくむ僕らをいちべつすると途端に眠り始めた。
ゆっくりとした正確な寝息。
君はしばらく眠るチーズを見つめて、それから一度も僕を見ることなくチーズを掴んだ。
「問題は、」
と君は言う。
「うん。」
と僕は答える。
「胃薬がないことなの。」
そう言うと、君はぽいと口にチーズを投げ入れた。
作品名:
僕が扉を開けると
作家名:
川口暁