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僕が扉を開けると

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踊る案山子


僕が扉を開けるとそこには案山子が立っていた。

その端正な顔立ちの案山子は、立ちすくむ僕をいちべつすると途端に踊り出した。

キレのあるブレイクダンス。

彼は(あるいは彼女は)一通り踊り終えると、荒くなった息を整えもう一度僕を見た。

「問題はさ、」

と案山子は言う。

「うん。」

と僕は答える。

「汗をかけないってことなんだ。」

そう言うと、案山子は悲しげに顔中の布をくしゃくしゃにさせた。




作品名:僕が扉を開けると 作家名:川口暁