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コミュニティ・短編家

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お題・出会い


「ハイ」

「ハイ」

「…ここはよく来るの?」

「えぇ。会社が近いから。」

「ん?どこ?」

「あれ。あそこのビルの12階よ。」

「いいね。うん。いいビルだ。…一人?」

「えぇ。」

「…アー…どう?」

「どうって?」

「だから、あれだ。そう、最近どう?って。」

「ふ…まぁまぁよ。あなたは?」

「あぁ、俺は最高だよ。うん。ここんとこほんとついてる。カフェじゃ…あ、俺カフェで働いてるんだ。ほら、あっちの通りにある緑の看板の。」

「『コメ・スタ』ね。」

「そう!店長がイタリア人なんだ。ちっとばかし煩いが悪いやつじゃねぇな。うん。…で、カフェじゃチップがはずんだし…いつもの3倍はもらったぜ?どっかの重役だったんだ。時計がよかったからピーンときてサービスして。それからランチにはオニオンが入ってなかった。あ、笑うなよ。昔っから苦手なんだ。で、しかも…驚くなよ?死んだはずのばあさんが生き返った。」

「冗談でしょ?」

「半分はね。…ぶっ倒れて2ヶ月寝たきりだったんだ。それで皆もう諦めてた。ばあさんは金持ちだった。株とかも手ぇだしてたんだ。土地もいくつか持ってたし。だから母さんたちははっきり言って喜んでた。で、延命治療はストップが決定。さぁ最期のお別れを言いに行くわよってんで親戚中ぞろぞろ集まることになった。皆涙ぐみながら神妙な顔付きしてよ。口許みればニヤニヤさ。俺は正直どうでもよかったから待ってるって言った。でも母さんたちは来いってんだ。どうせ遺産の話になるから味方が多い方が優位になるとかなんとか言って。…ん?ちょっとは興味でてきた?」

「まぁね。それで?」

「…そう。それで俺は家から引きずり出された。病院じゃもう皆集まってた。皆で探りあうような顔しやがってよ。そのうちお祈りが始まった。俺はばあさんがヘビースモカーだったことを思いだしてた。よく俺を膝にのっけてさ、スパスパ吸ってた。なんか馬鹿らしくなってよ。『アーメン』だとかばあさんはそんな信心深いたちじゃねぇよ。でもまぁ身内んなかじゃ一番まともな人間だった。あいつらからしたら全然だけどな。…で、俺は寝てるばあさんの口に煙草を突っ込んだ。」

「煙草を?!嘘でしょう!」

「もちろん本当だよ。で、火をつけた。やつらはあんぐり口を開けた。ばあさんはぱっちり目を開けた。」

「…『オーマイゴット』?」

「オーマイゴット。晴れてばあさんは遺書を書き直した。財産の半分は孤児院に。半分は俺に。今はハワイでサーフィンしてる。」

「…素敵。…本当?」

「本当だって。写真もあるんだ。それでもまだまだ俺の幸運は続く。なんとまあこれが一番のラッキーだったんだけど。」

「何?さっきのを上回るラッキーって。」

「君と出会った。キスしていい?」

「バカ。」
作品名:コミュニティ・短編家 作家名:川口暁